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遺村プロジェクトは、日本の限界集落を記録し、その文化的・歴史的価値を保存することを目的とした活動です。過疎化が進むこれらの集落の独自の生活様式、伝統、そして地域社会の絆をデジタルアーカイブ化することで、永続的な価値を創出し、次世代に伝えることを目指しています。
遺村プロジェクトとは?
目的
遺村プロジェクトは、過疎化が進む日本の限界集落を記録し、その文化的・歴史的価値を保存し、後世に伝えることを目的としています。
私たちの活動は、これらの集落が持つ独自の生活様式、伝統、そして地域社会の絆を明らかにし、それらをデジタルアーカイブ化することにより、永続的な価値を創出します。
背景
私は東京都で生まれ育ち、東京で働いていました。23歳の時、新潟県の小さな集落で暮らすことになり、都会では感じることのできない人々の温かさと強い繋がりを体感しました。同時に、地域おこしの難しさも実感し、地域の記録を後世に残す重要性を強く感じました。集落誌を執筆し、Wikipediaに投稿した際、住民から感謝の声が寄せられ、この活動の必要性を実感しました。この経験から、私は「遺村プロジェクト」を立ち上げる使命感を抱くようになりました。
ビジョン
私たちのビジョンは、「遺村プロジェクト」を通じて、各集落の独特な物語を未来世代に伝え、日本全国の集落の記憶を継承することです。
人口減少と高齢化により、多くの集落がその歴史と伝統を失いつつあります。これらの村落は日本の文化的風景の一部であり、それを保存することは我々のアイデンティティと歴史の保持に不可欠です。これらの記録を通じて、地域の再発見とまちおこしに貢献し、全国の人々にその価値を再認識してもらうことを目指しています。
日本の現状
人口減少の現状
日本の多くの集落では、人口減少と高齢化が進行し、その結果として地域の維持が困難になっています。全国で46の道府県で人口減少が続いており、特に山梨県では人口減少率が最も拡大しています。また、日本全体での高齢者(65歳以上)の割合は29.1%と過去最高を記録し、地方の高齢化はさらに深刻な状況です (総務省統計局) (Population Pyramid)。
文化財維持の難しさ
日本各地の文化財は、その維持と保護が困難な状況にあります。文化庁の調査によると、地方の多くの自治体で文化財の保護・活用に関する取り組みが行われているものの、資金や人手の不足が大きな課題となっています。具体的な取り組みとして、シンポジウムや文化イベントの開催、地域住民への普及啓発活動が行われていますが、多くの文化財の維持管理が困難であることが報告されています。(文化財の地域一体での活用と地域振興に関する調査の概要 資料3(文化庁))
伝統技術の消失
伝統技術の継承もまた深刻な課題です。文化財保護法に基づき多くの伝統技術が保護されていますが、職人や技術者の高齢化が進む中で、新しい世代への技術継承が難しい状況にあります。多くの自治体がガイドや文化遺産の調査を行う人材の育成に力を入れていますが、専門家の不足と後継者問題が深刻です。(文化財の地域一体での活用と地域振興に関する調査の概要 資料3(文化庁))
何をしているのか?
活動内容
集落総合研究所では、以下のような多角的な活動を行っています。
1. 集落データベースの研究・開発
- 日本全国の集落に関する詳細なデータを収集し、誰でもアクセス可能なデータベースを構築しています。
- このデータベースは、集落の歴史・文化などがまとめられ、生涯学習に不可欠な情報源となっています。
2. 集落誌の執筆
- 全国の図書館と連携して各地の文献が集められ、集落の歴史や文化に関する詳細な集落誌を執筆しています。
- 地域の歴史を文書化し、広く公開することで、誰でも体系的に集落を知ることができます。また、明記された出典から、一次情報へのアクセスを容易にします。
3. フィールドワーク
- 集落誌の執筆を終えた集落は、現地での調査を行っています。
- このフィールドワークを通じて、地域の人々の声を直接聞き、集落の情報化されていない過去や問題点を探りだしています。
4. マルチメディアを含む一次情報の収集
- 写真、ビデオ、音声記録などのマルチメディア素材を収集して、集落の風景や日常生活、祭りや行事などを記録しています。
- これらの一次情報は、集落の生きた歴史を伝えるための貴重な資源として、オープンデータとして公開しています。
2023年の活動実績
2023年は、22館の図書館から176冊の資料を収集、10県28集落の集落誌を執筆、そして現地調査を通じて、集落データベースの集落誌は合計67件に達しました。ここでは、2023年の具体的な活動内容とその成果について詳しくご紹介します。
資料収集
- 全国の22の市町村立図書館に文献調査を依頼し、176冊の文献を収集しました。
- 収集した資料には、教育委員会が作成した自治体史、大学の研究レポート、民間の歴史研究会の雑誌などが含まれています。
執筆
北は青森県東津軽郡今別町の袰月集落から、南は鹿児島県姶良市の木津志集落までの下記の計28集落誌を執筆しました。
執筆プロセス
- 国勢調査統計をもとに、対象都道府県の人口100人未満の集落をリストアップ(1県50地域)。
- 地名辞典でリストアップした地域の情報量を確認し、集落誌執筆に足りるかを調査。
- 人口が少なく集落誌執筆するのに最低限の情報量がある集落をさらに10集落程度に絞る。
- 国立国会図書館サーチを使って文献を探す。並行して、該当集落のある自治体図書館に文献調査を依頼。
- 国立国会図書館や自治体図書館の文献調査の結果、集落誌の執筆に適した集落を5つほどにさらに絞る。
- 最終的に絞った集落の文献を、近隣の図書館の相互貸借制度を利用して取り寄せる。
- 取り寄せた文献から、必要な情報を探す。
- 以上のプロセスを経て取得した集落の情報をもとに集落誌を執筆する。
現地調査
①青森県から鹿児島県まで原付バイクで移動し、調査中は野宿を行いながら情報を収集しました。
②初めて離島での調査を実施し、島の特有の文化や生活習慣を記録しました。
③青森県東津軽郡今別町の袰月集落で、貴重な舎利石を見せてもらい、その一部をいただきました。
④秋田県上小阿仁村の杉花集落で、住人から縄文時代の石器を見せてもらい、その詳細を教えていただきました。
⑤佐賀県唐津市の星領集落で、先祖の墓地を発見し、過去の伝統舞踊の様子を教えてもらうことができました。
これまでの成果
17県67集落達成
「遺村プロジェクト」によってこれまでに17県67集落の記録を残すことに成功しました。これらの記録は、過疎化する集落の文化、歴史、そして日常生活の貴重なスナップショットを提供しています。
メディア掲載
当プロジェクトの取り組みは、書籍「ウィキペディアでまちおこし」で取り上げられ、地域の記憶を未来に継承することへの貢献が認められました。
経済価値の実証
集落誌の執筆により、地元の村民から約10万円の寄付を受け取りました。これは当プロジェクト対する経済的価値の認識と、我々の活動が集落の記憶を未来へ継承し、地域社会への直接的な貢献をしていることを示す重要な証です。